中の人の課題曲解説 最終回「On the Sunny Side of the Street」

こんにちは。八王子ジャズフェスティバル実行委員会の中の人です。
今回で、「中の人の課題曲解説」シリーズは最終回です。
八王子JAZZ DAY 2025の課題曲をひとつひとつ掘り下げながら、その魅力や背景をお届けしてきましたが、いよいよラストです。
締めくくりにご紹介するのは、「On the Sunny Side of the Street」。
「On the Sunny Side of the Street」とは?
「On the Sunny Side of the Street」は、1930年にジャズ・スタンダードとして誕生しました。
作曲はジミー・マクヒュー、作詞はドロシー・フィールズ。ブロードウェイ・ミュージカル『International Revue』のために書かれ、瞬く間に人気を博しました。
この曲が誕生した1930年は、世界恐慌の真っ只中。多くの人々が経済的に厳しい状況にあり、日々の生活に苦しんでいました。そんな時代にあって、「On the Sunny Side of the Street」は、暗い現実に負けず、希望を持って前を向こうというメッセージを届ける歌でした。
「財布が空でも、心は満たされている」「影の道ではなく、陽だまりの道を歩こう」と歌うこの歌詞は、当時の人々に大きな励ましを与えたのです。
また、この曲はNHKの朝ドラ『カムカムエヴリバディ』(2021年)で使用されたことで再び注目を集めました。ドラマの中で流れるこの曲は、主人公がポジティブなエネルギーで未来に向かって進んでいく様子を象徴し、明るく前向きなメッセージを強調しています。このドラマでの使用により、改めて多くの人々に「On the Sunny Side of the Street」の魅力が再認識されました。
「On the Sunny Side of the Street」の魅力
この曲の魅力は、何といってもその軽快でハッピーなリズム。
演奏スタイルも多様で、スウィングの定番としてアップテンポで演奏されることが多いですが、ミディアムテンポやボサノヴァ風のアレンジも存在します。
また、この曲の歌詞は、シンプルでありながら非常に力強いメッセージを持っています。
“Grab your coat and get your hat, leave your worries on the doorstep.”
(コートを掴んで帽子をかぶり、悩みは玄関に置いていこう)
“Just direct your feet to the sunny side of the street.”
(足を明るい道へ向ければいいんだ)
ネガティブな感情や困難を背負い続けるのではなく、明るい方向に進んでいくことの大切さを、軽快なリズムとともに伝えています。
この曲は古くから多くのアーティストに愛され、スウィング、ボサノヴァ、バラードなど、さまざまなアレンジで演奏され続けています。シンプルで覚えやすいメロディは、どんな楽器でも演奏しやすく、多くのアーティストによってカバーされ続けています。
中の人おすすめの「On the Sunny Side of the Street」
ルイ・アームストロング
彼の温かみあるボーカルとトランペットが、この曲のポジティブな雰囲気を完璧に引き立てています。
ルイの明るい笑顔が浮かんでくるような、心温まるバージョンです。
オスカー・ピーターソン
オスカー・ピーターソンの「On the Sunny Side of the Street」は、彼の卓越したピアノ技術が光る演奏です。アルバム『Oscar Peterson Plays The Jimmy McHugh Song Book』に収められ、スウィング感たっぷりのリズムと即興演奏が特徴です。軽快でダイナミックなピアノが、ジミー・マクヒューの名曲に新たな命を吹き込んでいます。
ベニー・グッドマン
ベニー・グッドマンのバンドは、軽快でリズム感あふれる演奏で、この曲をより明るく楽しいものに仕上げています。彼のクラリネットが曲のメロディを引き立て、スウィング感を強調しながらも、ホーンセクションとの調和が絶妙です。グッドマンのアレンジによって、曲は洗練されたジャズのスタンダードとしての地位を確立しました。
八王子JAZZ DAYでの「On the Sunny Side of the Street」
「On the Sunny Side of the Street」は、演奏者ごとに異なるアプローチが楽しめるスタンダードナンバーです。
アップテンポのスウィングで元気に演奏するも良し、ゆったりとしたリズムでリラックス感を味わうも良し。
「八王子JAZZ DAY 2025」では、この曲がどんな明るさで響き渡るのか楽しみです。
まちのあちこちで、演奏者たちが「陽だまりの道」を軽やかに描き出すことでしょう。
シリーズ最終回に寄せて
今回で「中の人の課題曲解説」シリーズは最終回です!
八王子JAZZ DAY 2025の課題曲を通して、ジャズの奥深さや楽しさを少しでも感じていただけたら嬉しいです。
八王子JAZZ DAY 2025では、この6曲がどのように演奏されるのか、ぜひご自身の耳で確かめてください!
それでは、八王子JAZZ DAY2025でお会いしましょう。