ジャズでよくある“なんで?” vol.3

なぜジャズは、1人迷うと全員ちょっと困るの?

ジャズライブを見ていると、
「あれ……今ちょっと変だった?」
と思う瞬間があります。

演奏は止まっていません。
でも、なんとなく空気がフワッと揺れる。
ピアノが急に周囲を見る。
ドラムが少し存在感を増す。
ベースが妙に落ち着き始める。

でも本人たちは、わりと普通の顔をしています。
今回は、ジャズライブで時々起きる、“全員うっすら迷子になる現象”についてのお話です。

“なんで?”の正体

実はみんな、ちゃんと同じ流れを見ている

ジャズは自由な音楽に見えますが、実際はちゃんと曲の流れがあります。

どこへ進むのか。次に何が来るのか。演奏者同士は基本的に共有しています。なので普段はそんなに迷いません。

でも時々、ライブならではの“事件”が起きます。だいたい原因は、ソロが盛り上がりすぎることです。

熱くなりすぎると、人は時々飛ぶ

ソロがどんどん盛り上がってくると、演奏者はかなり集中しています。

「今めちゃくちゃ気持ちいい」
「もっと行きたい」
「まだ終わりたくない」

そんな空気になってきます。

すると時々、勢いでいろんなものが飛びます。

曲の流れだったり。
区切りだったり。
「今どこか」だったり。

もちろん本人も真剣です。むしろ夢中だから起きています。

でも周囲も、その熱量に乗っています。

ピアノも煽る。
ドラムも押す。
ベースも支える。

結果、全員で勢いよく進んだあと、

「……今どこ?」

が発生します。

でも誰も止まれない

ここがジャズの面白いところです。

若干あやしくなっても、誰も露骨には止まりません。

むしろ少し平然とします。たぶん、動揺するともっと危ないからです。

なので現場では、
「大丈夫です」
みたいな顔で、全員が周囲を見始めます。

でも内心は、けっこう探っています(笑)

現場では実際どうなっているのか

ピアノが急に周囲確認を始める

こういう時、ピアノは急に周囲を見始めます。

ベースを見る。
ドラムを見る。
また鍵盤を見る。

忙しいです。

しかもシレッと何事もない顔でやります。

観客からすると「アイコンタクト多いな」くらいですが、内部ではたぶん、かなり静かな確認作業が行われています。

ドラムが“今ここですよ感”を出す

少し空気が揺れ始めると、ドラムは急に道案内っぽくなります。

「はい、戻りますよ」
「ここですよ」

みたいな雰囲気を出し始める。ちょっと交通整理に近いですね。

ただ面白いのは、ドラム本人も100%確信しているとは限らないこと。

なので時々、全員が

「たぶんそこ!」

で合流します。

ベースが急に“分かりやすく”なる時がある

こういう時、ベースは急にシンプルになります。

普段はもっと自由に動いていたのに、急に「今ここです」と言うような音を弾き始める。

ジャズのベースには、今どの場所にいるのかを周囲へ伝える役割があります。

なので空気が少し揺れると、

「はい、一旦ここ戻りましょう」

みたいな、妙に分かりやすい演奏になることがあります。

観客からすると、

「今日は落ち着いたベースだな」

くらいかもしれません。

ライブでの見どころ

“今ちょっと探っている瞬間”を見る

ジャズライブでは、ぜひ演奏者同士の視線を見てみてください。

急に周囲を見る。
少し笑う。
微妙にうなずく。

あれは時々、確認作業です。

しかも面白いのは、誰か1人だけではなく、全員ちょっとずつ探っていること。

ライブって、完成品を見る場所というより、
“立て直していく現場”
を見る場所なのかもしれません。

戻ってくる瞬間は、ちょっとかっこいい

そして不思議なのが、なんだかんだ戻ってこれること。

誰か1人が正解を知っているというより、全員で少しずつ修正していく。
「あ、戻った」
という瞬間があります。

あれは失敗をごまかしているというより、
“会話しながら着地している”
感じに近いのかもしれません。

ライブならではの緊張感と面白さが、そこにはあります。

まとめ

ジャズは、完璧に決まったものを再現する音楽ではありません。だから時々、勢いが良すぎて全員ちょっと迷います。しかも原因は、だいたい盛り上がりすぎです。

でも誰も止まらない。

普通の顔をしながら、周囲を見て、探り合って、なんとなく戻ってくる。
ジャズって、こういうところが面白いんですよね。

次回予告

ジャズライブを見ていると、演奏者はみんな自信ありげに見えます。
難しそうな曲でも平然としている。
急な展開でも動じない。
何なら間違えた時ですら、ちょっと堂々としています。
でも本当に、いつも全部分かっているのでしょうか。

ジャズでよくある“なんで?”vol.4
「なぜみんな“分かった顔”で演奏しているの?」

次回は、ジャズマンが身につけているかもしれない
「とりあえず自信ありげに進む技術」
についてのお話です。

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中の人@八王子ジャズフェスティバル実行委員会
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  • 八王子ジャズフェスティバル実行委員会の中の人です。
    Webの担当してます。
    あと、ベース弾いたりもします。

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