ジャズでよくある“なんで?” vol.1

なぜジャズセッションは、綺麗に終わらないことがあるの?
ジャズライブやセッションをを初めて見た人が、かなりの確率で思うことがあります。
「……あれ?今、終わったんじゃないの?」
拍手しかけたら、もう1回始まる。
終わる空気になったのに、ベースだけ続いている。
ドラムが“まだ行くぞ感”を出している。
しかも演奏している本人たちは、わりと平然としています。
でも実はあれ、ジャズでは結構よくある光景なんです。
“なんで?”の正体
実は「流れ」は決まっている
実はジャズの演奏って、セオリーがあります。
テーマを演奏して、
順番にソロを回して、
最後にもう一度テーマへ戻る。
ここまでは、かなり共有されています。
なので演奏中のメンバーは、「今どこを演奏しているか」という視点では、だいたい同じ景色を見ています。
問題は、その後です・・・
問題は“どの終わり方にするか”
ジャズには、よく使う終わり方がいくつかあります。
曲の最後でスパッと止まる。
最後の4小節を何度か繰り返す。
“ダン、ダン、ダーン”みたいに締める。
最後だけゆっくりにする。
・・・などなど。
そして結構な頻度で「最後どうする?」を、そんなに細かく決めずに始まります。
だから演奏終盤になると、
ピアノは「今日はスパッと終わる流れかな」
ドラムは「いや、まだ熱量あるな」
ベースは「頼むから誰か決めてくれ」
みたいなことが起きます。
全員が“うっすら察しながら”進んでいる
面白いのは、誰も完全には確信していないのに、演奏は進んでいくことです。
ドラムが“終わるぞ感”を出す。
ピアノが合わせる。
でもサックスは「まだ行く?」みたいな顔をする。
すると一瞬、「あれ?どっち?」という空気になります。
でもジャズは、その曖昧さ込みで続いていく音楽です。
現場では実際どうなっているのか
ピアノとドラムで意見が割れることがある
ジャズの終盤は、地味に駆け引きがあります。
ピアノは終わりたそう。
でもドラムはまだ盛り上げたい。
とか、
サックスは締めに入っている。
でも後ろのリズム隊が「まだ行ける」と思っている。
みたいな感じですね。
そうなると、“終わりそうで終わらない時間”が発生します。
でも、なぜか演奏は続いていく
不思議なのは、少しズレても壊れないことです。
誰かが1回終わろうとしても、別の誰かが続ける。
すると全員が、「あ、そっちね」と戻っていきます。
ジャズは、“間違えない音楽”というより、“ズレても続けられる音楽”なのかもしれません。
ライブでの見どころ
「誰が終わらせようとしているか」を見てみる
次にライブを見る時は、ぜひ終盤を観察してみてください。
演奏者の顔色をよく見ると「誰が終わらせようとしているか」が、ちょっと見えてきます。
ピアノがまとめに入る。
ドラムがまだ熱い。
ベースが慎重になる。
終盤には、音より“空気の会話”が増えていきます。
“ズレ”が見えるとライブが面白くなる
ジャズって、完璧に揃っている瞬間だけが面白いわけではありません。
「今ちょっと迷ったな(笑)」
みたいな瞬間が見えると、急にライブが人間くさくなります。
そして、なぜかそこから立て直せてしまう。
その感じも、ジャズっぽさなのかもしれません。
まとめ
ジャズセッションが綺麗に終わらないことがあるのは、流れを知らないからではなく、“終わり方の選択肢”を、その場で選んでいるから。
全員が同じ地図は持っている。でも最後の出口だけ、少し曖昧。
だから時々、「今終わると思った人」が客席にも演奏者側にも現れます(笑)
でも、そのズレごと楽しめるのが、ジャズライブの面白さです。
次回予告
ジャズライブを見ていると、ピアノは止まる。
管楽器も休む。
でもベースだけ、ずっと弾いていることがあります。
本人たちは平静を装っていますが、実はかなり頑張っています。
ジャズでよくある“なんで?”vol.2
「なぜベーシストだけ、ずっと働いているの?」
次回は、
“止まるとちょっと危険な楽器”
ベースのお話です。
