ジャズでよくある“なんで?” vol.2

なぜベーシストだけ、ずっと働いているの?

ジャズライブを見ていると、こんな瞬間があります。

ピアノが止まる。
サックスも吹いていない。
ドラムも少し静かになる。

でも、ベースだけはずっと鳴っている。

「……あの人、休まないの?」
と思ったこと、あるかもしれません。

しかも本人は、わりと普通の顔をしています。
でも実はあれ、かなり頑張っています。

⚠️今回は、ベーシストを労る回です。

“なんで?”の正体

ベースは、だいたい歩き続けている

ジャズのベースはよく“ウォーキングベース”と呼ばれる弾き方をすることがよくあります。
その名前の通り、ずっと歩くように弾いていきます。
なのでベーシストは、演奏中かなりの時間、ずっと動き続けています。

ピアノみたいに空間を作ったり、
管楽器みたいに一度引いたり、
みたいな時間が、そこまで多くありません。
気づくと、ずっと働いています。

止まると、急に景色が変わる

しかもベースって、止まると急に空気が変わります。

演奏している側も、
「……あれ?今どこだっけ?」
みたいになることがあります。

なのでベーシストは、曲の終盤になるほどかなり周囲を見ています。

「終わる?」
「まだ行く?」
「もう1周?」

みたいな空気を、ずっと探していたりもするのです。

本人たちは平静を装っている

ライブ中のベーシストって、だいたい涼しい顔をしています。(汗だくの人ももちろんいます)

でも頭の中では、
「そろそろ終わるのか?」
「まだ続くのか?」
「テンポ速くなってない?」
「今どこだ?」
「頼むからそろそろ終わってくれ!」
「トイレに行きたいんだ・・・!」
「このままでは社会的に死んでしまう!!」
「あっ・・・・」
みたいなことが、起きています。
しかも、それを演奏しながら処理しています。

本人たちは平静を装っていますが、結構頭をフル回転させていることも多いのです。

現場では実際どうなっているのか

ソロが長くなると、周囲を見る回数が増える

ジャズのソロは、盛り上がると予定より長くなることがあります。
するとベーシストは、急に周囲を観察する時間が多くなり始めます。

サックスの呼吸。
ピアノの空気。
ドラムの“そろそろ締める?”感。

音だけではなく、かなり“人間”を見ています。

ドラムと目が合うと、だいたい何か起きている

ライブをよく見ると、ベースとドラムだけで目が合っている瞬間があります。

あれは結構、
「まだ行く?」
「終わる?」
「そこ揃える?」
みたいな確認だったりすることが多いです。しかも、だいたい一瞬のやり取りです。

ベースソロの頃には、だいたい疲れている

ベースソロは、ほとんどの場合、曲の後半に回ってきます。
なぜか?
それは「前半は、まず“場を成立させる”仕事が優先だから。」という理由です。

ベーシストの仕事は、単にルートを弾いてるだけではなく、

  • テンポ管理
  • フォーム管理
  • コード進行の提示
  • ドラムとの交通整理
  • ソリストの勢い監視

といった仕事を同時にこなしています。

そのために、全員が温まって、曲の流れも安定して、
「もうこのグルーヴは壊れないな」
となった頃に、

「じゃあちょっと喋りますか」

って感じでベースソロが来る。というわけです。

もう一つの理由としてはベースがいきなり冒頭から前に出ると、曲全体の土台が不安定になりやすい。というものです。
先に他の人が景色を作って、その後でベースが出ると、聴いてる側も耳が慣れてるから入りやすいはずです。

そんなわけで、曲の後半に置かれがちなベースソロですが、
ベースソロの頃には、ベーシスト本人がもう半分くらい放心してる時があります。
「帰りたい」

「でもまだあと1コーラス!」
が共存してたりするのです。(※個人の意見です)

ライブでの見どころ

ベーシストが誰を見ているか

次にライブを見る時は、ぜひベーシストの視線を見てみてください。

サックスを見ている。
ドラムを見ている。
ピアノの左手を見ている。

と、かなり忙しいはずです。
しかも、普通の顔でやっています。

“普通に進んでいる感じ”を支えている

ジャズのベースは、派手に前へ出る時間より、“普通に演奏が続いている感じ”を支えている時間がほとんどだったりします。
でも、その“普通”を維持するのが、一番大変だったりするんです。

まとめ

ベーシストだけ、ずっと働いていることがあるのは、真面目だからでも、休み方を知らないからでもなく、演奏全体が迷子にならないように、下で流れを支えていることが多いから。

ライブ中、ベースだけずっと鳴っていたら、
「あの人かなり働いてるな」
と思ってあげてください(笑)

たぶん本人は、平静を装いながらも頑張っています。

次回予告

ジャズって“全員でなんとなく進んでいる”時間があります。

なので時々、
「あれ?今どこ?」
が、1人だけじゃなく、じわっと周囲へ広がることがあります。

ジャズでよくある“なんで?”vol.3
「なぜジャズは、1人迷うと全員ちょっと困るの?」

次回は、
ライブ中に発生する“うっすら連鎖する迷子”のお話です。

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中の人@八王子ジャズフェスティバル実行委員会
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  • 八王子ジャズフェスティバル実行委員会の中の人です。
    Webの担当してます。
    あと、ベース弾いたりもします。

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